1. 概述
ファストリカバリダイオード(Fast Recovery Diode FRD)は、高速な逆回復特性を持つ半導体デバイス、高周波スイッチング電源、インバータ、モーター駆動、その他の高速スイッチングを必要とする回路などで使用されている。
このガイドラインは、エンジニアがFRDの特性、選択方法、および実際使用における注意点を理解するのを助けることを目指す。
2. FRD基本的な特性
2.1 逆回復時間(trr)
· 定義:順方向導通から逆方向遮断に切り替わる際、蓄積された少数キャリアが除去されるまでの時間。
· 重要性:trrが短いほどFRDのスイッチング速度が速くなり、高周波アプリケーションに適する。
2.2 逆回復ピーク電流(Irr)
· 定義:逆回復プロセス中の逆方向電流の最大値。
· 重要性:Irrが大きいほど逆回復損失が増加するため、回路要求に応じた適切なFRDを選択する必要がある。
2.3 逆回復電荷(Qrr)
· 定義:逆回復プロセス中に流れる総電荷量。
· 重要性:Qrrは逆回復損失の計算に重要なパラメータ、回路効率と熱設計に影響する。
2.4 順方向電圧(VF)
· 定義:FRDが順方向流れ時の電圧降下。
· 重要性:VFが低いほど導通損失が低減され、高効率回路に適する。
3. FRDの選定方法
3.1 動作電圧の決定
· FRDの最大逆電圧(VR)は、回路内の最大逆電圧を上回るように選択し、通常20~30%の余裕を持たせる。
3.2 動作電流の決定
· FRDの定格順方向電流(IF)は、回路内の最大順方向電流を上回るように選択し、同様に20~30%の余裕を持たせる。
3.3 逆回復時間の選択
· スイッチング周波数に応じて適切なtrrを選択します。高周波アプリケーションではtrrが短いFRDを選定する。
3.4 熱設計の考慮
· FRDの消費電力、熱抵抗、動作条件から接合温度を計算し、安全動作温度範囲内を確認する。
FRDアプリケーションでは、順方向の導通損失を除い、逆回復損失も非常に重要。ダイオード全体の損失は、主にこの2つで決められる。実際の状況により、FRDのTrr選択が適切かどうかを評価する必要がある。
理想的な逆回復波形は、逆回復による損失は次の画像ようになる:
Psw-off≈Vrp*Irrm*Trr*fsw/2
実際の逆回復の中に、VrpはVrに近く、逆回復による損失は次の画像ようになる:
Psw-off≈Vr*Irrm*Trr*fsw/2.
どんな波形でも、高周波アプリケーションでは、デバイスの全体的な消費電力を評価し、過剰な消費電力や熱暴走のリスクがないかどうかを確認する必要がある。
デバイス全体の消費電力:PD=Pon+Poff+Psw-on+Psw-off(ここで、Poffはリーク電流が小さいため、Psw-onは時間端、順方向電圧が小さいため、2つの消費電力はほとんど無視することができ、Psw-offは高温で計算する必要があり、温度Trrが高いほどPsw-offも大きくなる)。
熱抵抗により対応する温度上昇を計算する: DT=PD*Rthjc
デバイスの実際動作温度によりデバイスの接合部温度を計算する: Tj=Tc+DT
デバイスの接合部温度TjがTjmaxを超えないようにし、一定の余裕を持たせる。
以下の2つのFRDは同じ電流電圧の仕様を持ち、Trrの差は小さいですが、逆回復損失の差が大きい、高温で差がさらに拡大され、これによる消費電力の差も無視できない。
仕様パラメータ |
Rg1-Trr(ns) |
VF(V) |
VRRM(V) |
IF(A) |
A |
34 |
1.7 |
600 |
8 |
B |
25 |
1.9 |
600 |
8 |
実際テストTrr |
|
Irrm |
Trr |
Qrr |
IF=5A,VR=200V,di/dt=100A/us |
A |
1.9 |
62 |
61 |
B |
0.5 |
36 |
10 |
5A/200V、周波数65KHzのアプリケーションで逆回復損失を計算する:
サンプルAの逆回復損失 Psw-off = 0.77W
サンプルBの逆回復損失 Psw-off = 0.12W
ソフトリカバリとハードリカバリ
逆回復電流が突然な場合(ハードリカバリ)、ノイズが増加する。そのため、trrは小さいだけでなく、緩やかな回復が必要。下の数字の1と3は仕様上は同じtrrに見えるかもしれないが、ロスやノイズが大きく異なる。また、2号は仕様を見る時とても良く見えるが、それはとても大きいノイズを発生する。
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